安倍政権が強引にきめてしまった特定秘密保護法にメディアは頼り甲斐のない対応しかできなかった。権力者の「言論の自由や国民の知る権利を侵すものではない」という言葉ほどあてにならぬものはない。戦前の言論弾圧も同じ手口と構造であった。体験として語られる老骨語録のさまざま。
「メディアは権力を監視する役割を放棄するな」とくりかえす。若いやつらの「戦争ゴッコ好き」が、もう一度あの日本中を焼け野原にした時代を到来させるかもしれないな、歴史はくりかえすというからな、とボソボソつぶやきつつ、断固警告する。司馬遼太郎が亡くなる直前まで書き続けた『この国のかたち』で何を訴えたかったのか、それを語り継ぐ半藤版『この国のかたち』である。
※週刊ポスト2018年12月21日号