◆「薬を飲みたくない」と言っていい
これらの治療法を踏まえたうえで、決断に迷いが生まれたり、疑問を持つケースもあるだろう。そうした場合はどうすれば良いか。前出・勝俣医師が語る。
「多くの人はそんなに簡単に積極的な治療をしないことを納得・選択できるものではありませんが、がんの種類やステージ、合併症などを踏まえて、治療をやめることを選択しても構いません」
治療をやめる際の判断基準となるのは、患者が「“これからの人生”をどのように生きたいか」だと、前出・柏原医師が語る。
「たとえば、『根治』を目指しながら、生活の質(QOL)を上げるための緩和ケアを望まれる方には、そのための抗がん剤や放射線などの緩和療法を提案することになります。しかし、それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解したうえで『緩和ケアのみ』という決断をされた場合は、患者さんの判断を尊重しています」
◆治療をやめたら元気になった
抗がん剤治療をやめて在宅医療に切り替えたのちに、体調が快方に向かうケースもある。長尾クリニック院長の長尾和宏医師は「在宅医」として、治療をやめて自宅での緩和ケアに切り替えて平穏死した例を多数見てきた。