「大腸がんがみつかった50代の看護師さんは、職場では『末期がん患者を家に帰そうなんてこれっぽっちも考えなかった』と言っていましたが、自身が末期がんになって抗がん剤治療をやめ、家に帰ると『バリバリ元気になったし、明るくなった』と言っていました。他にも『食事量が増えて寝られるようになった』という声もよく聞かれます」
長尾医師は看取りの現場で、多くの末期がんの患者の家族からこう声を掛けられるという。
「思ったよりもずっと楽に逝きました。痛がらず苦しまず、眠るように逝きました」
痛くて、怖くて、苦しい──そうしたがんのイメージとは正反対の言葉が、看取りの現場では交わされている。
※週刊ポスト2018年12月21日号