ライフ

現役僧侶「自動搬送式納骨堂は節度を超えている!」

お墓トークで盛り上がるお三方(撮影/WEST)

「本を読んで、ようやくお墓を改葬する決心がつきました」などの感想が続々と届いている単行本『いまどきの納骨堂』(小学館)。その発売を記念して、著者の井上理津子さんが、大阪大学医学部教授の仲野徹さん、應典院住職の秋田光彦さんと公開鼎談を行った。意見の異なる3人が繰り広げたお墓と終活に対する本音の数々。大いに盛り上がったその模様をお届けする。

【議題】いまどきの納骨堂は是か非か?

 墓じまいした後の引っ越し先として注目を集めるのが自動搬送式の納骨堂だ。『いまどきの納骨堂』では《首都圏には、建設中のところも含めると約30カ所に及び、完売すれば12万~15万人が使用することになるらしい。都立霊園8か所の使用者数の合計は約28万人だから、今や自動搬送式の納骨堂は誕生して約20年で、なんとその半数に届こうとしている》というほど、増えてきているという。しかし、これまでのいわゆる「土の上に立つお墓」との違いから抵抗感のある人もいて、3人の意見も真っ二つに割れた──。

井上:自動搬送式の納骨堂は、立体駐車場と倉庫が合体したような形です。外観はオフィスビルかミュージアムみたいな建物で、ロビーにあるパネルにカードをピッとかざす。そうすると、空いているブースが示されて、そこが今日の参拝所になるんですね。保管庫からコンピュータ制御のベルトコンベアでお骨が運ばれてきて、共用の墓石にセットされるんです。

 購入されたかたが満足を得ているというのを聞くと、私はそういった自動搬送式もオッケーだと思います。どこも駅近だったりして、交通至便なところでカジュアルに手を合わせるのは、ありだと思いますね。

秋田:大体、あの自動搬送式の機械って、故障したりするんじゃないですか?

井上:そこが問題なんです。今はできたばかりでいいですが、いつかマンションの大規模修繕のようなことも出てきかねない。潰れないところを探さないといけないと思いますけどね。

秋田:その搬送式の納骨堂がいいとか悪いとかって、ぼくがあれこれジャッジする立場にはないですが、どうしても見えてしまうのは、デベロッパーの陰。量とか効率を求めたもので、率直に言えば、ほとんど反宗教的で、お寺がこれまで長い間に培ってきた節度を超えていると思っています。

仲野:その言い方だと、むちゃくちゃお嫌いですよね?

秋田:宗教が大事にしてきたものをかなり否定しているような気がするんですね。駅に近いし便利やん、建物もきれいで気持ちいいやん、というふうにお客様本位で決められていく。だんだん価値観が変わってきているんでしょうね。

井上:いえ、納骨堂を選ぶ人は利便性優先であっても、故人に手を合わせたい気持ちがあってこそだと思います。その部分は、従来のお墓に求めるものと変わらないんじゃないかな。経営主体のお寺が、堂内で法話や写経の会をやり、参加する人もいます。さっきの仲野先生の言葉のように、お参りの回数が増えたという人がとても多いですしね。

関連記事

トピックス

2023年7月から『スシロー』のCMに出演していた笑福亭鶴瓶
《スシローCMから消えた笑福亭鶴瓶》「広告契約は6月末で満了」中居正広氏の「BBQパーティー」余波で受けた“屈辱の広告写真削除”から5カ月、激怒の契約更新拒否
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長》東洋大卒記者が卒業証明書を取ってみると…「ものの30分で受け取れた」「代理人でも申請可能」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
《フジテレビに蔓延するオンカジ問題》「死ぬ、というかもう死んでる」1億円以上をベットした敏腕プロデューサー逮捕で関係する局員らが戦々恐々 「SNS全削除」の社員も
NEWSポストセブン
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
《新歓では「ほうれん草ゲーム」にノリノリ》悠仁さま“サークル掛け持ち”のキャンパスライフ サークル側は「悠仁さま抜きのLINEグループ」などで配慮
週刊ポスト
70歳の誕生日を迎えた明石家さんま
《一時は「声が出てない」「聞き取れない」》明石家さんま、70歳の誕生日に3時間特番が放送 “限界説”はどこへ?今なお求められる背景
NEWSポストセブン
一家の大黒柱として弟2人を支えてきた横山裕
「3人そろって隠れ家寿司屋に…」SUPER EIGHT・横山裕、取材班が目撃した“兄弟愛” と“一家の大黒柱”エピソード「弟の大学費用も全部出した」
NEWSポストセブン
イスラエルとイランの紛争には最新兵器も(写真=AP/AFLO)
イスラエルとの紛争で注目されるイランのドローン技術 これまでの軍事の常識が通用しない“ゲームチェンジャー”と言われる航空機タイプの無人機も
週刊ポスト
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《模擬店では「ベビー核テラ」を販売》「悠仁さまを話題作りの道具にしてはいけない!」筑波大の学園祭で巻き起こった“議論”と“ご学友たちの思いやり”
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン