ビジネス

早稲田、TOEIC900点でも内定なし 高学歴就活難民のリアル

学歴フィルターにも「罠」がある…(写真はイメージ)

 就活が「売り手市場」と言われる中、誰もが知る有名大学の学生ならば、みな複数の内定を得ているはず──と思いきや、さにあらず。意外なことに、「高学歴就活難民」がいるのだという。就活塾・キャリアアカデミーの宇佐川景子氏がその実態を解説する。

 * * *
 早稲田、慶應といった有名大学の学生で、自分なりに努力したにもかかわらず、内定が出ない就活生のことを「高学歴就活難民」といいます。これだけ「売り手市場」と言われているにもかかわらず、なぜ“難民”が生まれてしまうのでしょうか。

 早稲田大学のOさんも高学歴就活難民の一人です。

「ワセダ」というブランドに加え、TOEICで900点という高得点を取ったOさんは、自分でも大手有名企業に行けるものだと思っていました。彼は、食品、金融、メーカーなどの各分野で最大手の企業のみを受けました。履歴書の“見栄え”は良いため、エントリーすればたいてい面接に進めます。

 しかし、面接はスペックだけでは通過できません。「弊社でどんなことをやりたいですか?」といった基本的な質問にすら、具体的に答えることができませんでした。取り繕ったような受け答えをすると面接官は曇った表情を見せ、Oさんは自分が期待はずれだと思われていることを察しました。

 あちこちの企業で面接しては落とされることを繰り返していましたが、「大企業に行きたい」「妥協したくない」という気持ちから、中堅以下の会社は受けず、結果として、多くの学生が就活を終える大学4年生の6月になっても「無い内定」(内定を一社も獲得できない)の状況に陥ってしまいました。周囲にいるのは、同じリクルートスーツを着て「夏のインターン」に参加する、ひとつ後輩の就活生でした。

 Oさんは「会社説明会に足しげく通い、就活本を読み、約50社にエントリーシートを出していたので、就活への努力は十分しているつもりになってしまっていました」と語ります。「でも、振り返ってみると周りも努力はしていて、よいのは学歴だけで、考える力も行動力も“人並み”だと今はわかります」

 Oさんは大学4年生の9月末まで就活を続け、結局中堅金融会社に内定を取りました。同級生の就職先からはワンランク落ちる会社ですが、Oくんは「自分の能力を考えると、この内定先は妥当だ」と語っています。

◆先輩の実績から「高過ぎる自己像」が生まれる

 高学歴の学生は、先輩から「俺は商社に内定」「私は広告代理店に行く」といった話を聞くことになります。成功した先輩は話をしたがるし、就活生も成功した先輩の話を聞きたがるのは当然です。成功談を聞いた就活生は、“なんとなく”自分もそういった会社に行くのだろうと思うようになります。本当は、就活がうまく行かなかった先輩も数多く存在するのですが、彼らはあまり自分の就職先を後輩に語らないため、現実を知ることがありません。

 さらに、親族や友達からも「有名大学に入ったのだから、有名大手企業に行くのだろう」と期待されることが、根拠のない自信に拍車をかけます。その結果、「自分も当然有名企業に」と思い込み、冷静に見ると、自己像が高すぎる状態になるのです。

関連記事

トピックス

出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン