条件馬で有馬記念に出走した馬としては2007年のレゴラスがいる。父サンデーサイレンスでローエングリンの半弟という良血。気性に問題があって1000万条件にとどまっていたが、むしろ道中の流れが速くなるGIのほうが向いていると果敢に挑戦。メイショウサムソンやウオッカに先着する7着と健闘した。
また障害馬といえば、1992年に悠々と逃げ切り勝ちを挙げたメジロパーマーがいるが、障害出走は2回だけ。この年の春の宝塚記念でもGI初勝利を挙げていたので、オジュウチョウサンとは事情が違う。
しかし、もともと有馬記念は、小回りの中山競馬場を1周半、コーナー6回というトリッキーなコースで前に行ける器用な馬が有利といわれている。アップダウンやコーナーのきつい障害コースを走り慣れているオジュウチョウサンにとってみれば、マイナス要因にはならないだろうし、スタミナも問題ない。スピードが違うという声があるが、東京2400mの持ち時計2分25秒0は、一昨年のJCのタイムを上回っている。それでも平地ではしょせん準オープン馬にすぎない……のだろうか。
有馬記念では秋の激戦を経てきた馬の“余力”がカギになることがあるが、オジュウチョウサンは11月3日に一度走ったきりでここに備えている。ちなみに、この南武特別で2着だったブラックプラチナムという馬は、2017年8月の信濃川特別(1000万特別)で、コンマ2秒差でキセキに次ぐ2着だった。その後の成長を考えれば、単純に比較することはできないかもしれないが、どうせならワクワクしながら見たいと思いませんか?
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号