答えによって次の質問が変わる

 重大な疾患の疑いが出れば、精密検査などを勧められることもあるという。記者の場合は、ひとまず経過観察でよいとのことだった。

 次に別室で「SKY-10」という体に電圧を流す検査機器によるチェックを受け、「血管年齢は55歳で老化が進んでいる状態」などの指摘を受けた。

 AI問診を含めた3つの検査がこのクリニックの「人間ドック」で、料金は5400円。所要時間は1時間ほどだった。

「AIによる補助診断のメリットは、ドクターの負担軽減と、問診でのヒューマンエラーを減らせることだと考えています」(院長の重山洋一郎氏)

 また、AI問診のシステムを開発した「Ubie」の共同代表・阿部吉倫医師はこう説明する。

「問診の質問数は15~20個で、質問の種類は約3000種類、答えとなる選択肢は4000種類ほどあります。AIはアルゴリズムによって最適な質問を選び、さらに自己学習していく。例えば糖尿病患者が多いクリニックでは糖尿病関連の質問が多くなるというように、クリニックの専門性の違いも反映されていきます」

 このAI問診はすでに70のクリニックと5つの病院で採用されているという。人間の医師の場合、患者が同じように答えても忙しくて掘り下げるべき質問を飛ばしてしまったり、聞き流して判断を誤ってしまうことも起こり得る。そうした事態を防ぐ手立てになることが期待されている。

※週刊ポスト2019年1月1・4日号

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