副題にあるとおり、著者は「いくつか学び考えたこと」を述べた。類書のように、どこやらへの政治的留保や斟酌をまじりこませたりせず、述べるべきことをはっきり述べた。
科学史家は「国家主導科学」の実態を、ひとしお鋭く見つめてきた。それは何万年も毒性を失わない大量の廃棄物を生み出しつづけ、たとえ廃炉にしても、事故の跡地はもとより、その近辺は人間の生活を拒みつづける。
その後の政・官・財の暗黙の成り行きも正確に予告されている。難問はすべて先送り。さしあたりの存続と再稼動が目下の急務となるということ。国民には、とっくに忘却がゆきわたっている。オリンピックや万博の目くらましのなかで、途方もない「子孫に対する犯罪」に手をかしている。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号