国内

団塊世代の男性の老年期は危機 人に「助けて」と言えない世代

おやじは家族の言葉に耳を貸さないもの!?(写真/アフロ)

「生活とリハビリ研究所」代表の三好春樹さんは1950年生まれの団塊世代。介護職の第一人者として、この世代がいよいよ迎える老年期は、特に男性にとって危機だと言う。

「ぼくたちは“自立した個人”になることを目標に育った世代。学生時代には、集団誇大妄想だけど“革命!”などと叫んで石や火炎瓶を投げたりもした世代なんです。社会が不安定だった分、大いなる自由があり、そんな中で自立を至上の価値と思って生きてきたのです。

 だから、人に『助けて』とは絶対に言えない。いろいろな面で手助けが必要になったとき、本人も介護する人もいちばん困るのがここだと思う。老いた自分と、自立した個人であるべきという理念とのギャップがどんどん広がり、頭を抱えているのが、厄介な頑固おやじの姿でしょう」(三好さん・以下「」内同)

 そして、ここでもやはり、男の性質が立ちはだかる。

「老いは自然の営みです。子供を産む女性は自然と共に生きているから、老いも柔軟に受け入れて、開き直れる。ところが男性は、自然とは別次元の観念の世界に生きているから、自然に老いて死んでいくことが受け入れられない。うちの父(94才)などは進歩主義者で、一緒に老いている母(92才)の老化も医学で治せると思っていて、リハビリをやたらにすすめたりします。

 高齢男性は万事こんなことだから、要介護になっても娘や妻の言うことはまず聞きません。特に娘は、自分が養ってきた“自立したオレ”を象徴する存在。『お父さん、デイサービスに行こう』には頑として動きません」

※女性セブン2019年1月3・10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン