AIの回答は常に明快というわけではなく、「BCC(基底細胞がん)83.66%、SK(脂漏性角化症)12.78%」などと可能性が分散することもある。
だが、皮膚のできものが良性か悪性かを識別する能力を、AIと人間で比較するテストを行なったところ、皮膚科専門医13人の識別率が85.3%だったのに対し、AIは92.4%と上回った。
「写真1枚を見せて良性か悪性かを識別するテストではAIの勝ちです。ただし、詳細な診断を見ていくと、悪性のなかでも、有棘細胞がんと診断しているが実は別の腫瘍だったといった間違いがあったりします。そこの精度が上がっていくと専門医も納得するシステムになると思います。また、皮膚がんは見た目だけでなく、ときに触感や臭い、患者さんの既往歴、ほくろの形の変化などから総合的に判断しますから、現段階では、医師の仕事を補助するシステムです」(藤澤氏)
現在は、日本医療研究開発機構(AMED)から資金提供を受け、皮膚科学会が主体となり、日本版の「皮膚病ビッグデータ」を構築するため、日本中から皮膚病の画像などのデータを集積する活動を進めている。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号