A氏の肺がんは「腺がん」と呼ばれる進行の早いタイプだったが、幸いなことに転移の見られないI期だった。
総合病院の担当医からは、「すぐに手術して腫瘍を切除しましょう」と言われたが、A氏は即決をためらった。告知以来、がんに関する情報をネットで調べたところ、「初期の肺がんには放射線治療が効果的」とあったからだ。
がん治療では、手術などの「外科治療」、エックス線などの「放射線治療」、抗がん剤などの「化学療法」が標準治療とされる。
特に早期がんを治療するケースでは、がんの寛解を期待して、「手術」か「放射線」かを選ぶケースが多い。浜松オンコロジーセンター院長(腫瘍内科)の渡辺亨医師は、「手術を選ぶべき」との見解を示す。
「年々放射線治療の技術は高くなっていて、がん細胞をターゲットとする狭い範囲に放射線を照射することができるようになった。とはいえ、腫瘍の周辺にある健康な細胞まで照射するリスクは避けられません。
特に肺は放射線に弱く、炎症を起こす怖れがあります。もちろん、がんの発生部位や患者の年齢、体力などにもよりますが、切り取ることのできる早期がんならば、手術を選ぶことがベターです」
年齢に比べて体力のあるA氏は、医師の勧めに従って手術を選んだ。
◆手術受けるなら「開腹」か「内視鏡」か