「旅先で知り合った学生でね、Tくんは年下で甘ったれ。おばあちゃんに気があったのよ(笑い)。一緒にいたKくんは大人っぽくて頼りになる。Tくんはよく手紙や電話をくれたけど、おばあちゃんはKくんの方がよかったわね」
「おばあちゃんはどっちと結婚したかったの?」と聞くと、「そうねえ、難しいわね…結婚相手というのはね…」と、その時々を楽しむ恋愛と、生活を共に築く結婚の違いについてレクチャーし、娘に恋愛指南をするという。
さらに父と見合いしたときの様子、父が「今までの恋愛は忘れてぼくと結婚しましょう」と求婚したという話も、私は初耳で驚くばかりだった。すべて娘の報告によるのだが…。
昨年末に父の七年祭(七回忌)を営み、母は施主としてぎこちなくも立派に務めた。が、翌日には「パパの七年祭、やらなくちゃ!」と慌てて電話をしてくる。記憶障害は着実に進みつつあるが、恋愛を語る母は実に明晰で生き生きしている。認知症などどこ吹く風だ。恋のパワーはすごい!
※女性セブン2019年1月31日号