スポーツ

平成の名勝負「敗者の美学」 霊長類最強女子が喫した敗戦

試合後の会見の様子(時事通信フォト)

 五輪3連覇を成し遂げ、平成24年(2012年)には国民栄誉賞を受賞。男女通じて史上最多の世界大会13大会連続優勝を達成し、「霊長類最強女子」とまで呼ばれたアスリートが喫したまさかの敗戦は平成28年(2016年)8月18日のことだった。

 リオ五輪の53キロ級決勝で敗れ、吉田沙保里は五輪4連覇を逃す。平成13年(2001年)から続いていた個人戦での連勝記録も206でストップし、世界大会連続優勝は16大会で途切れてしまった。

 試合が終わった瞬間、吉田は10秒近くマットに突っ伏した。その後、30分以上も泣き続けた吉田は、「銀メダルで終わって申し訳ない。日本の主将として金メダルを取らないといけないところだったのに……すごく重圧はあった」と謝罪した。

 吉田はマットに上がる前、周囲に「最後の五輪になる」と告げていたという。その言葉通り、平成最後の年となる平成31年(2019年)1月8日に引退を発表した。

※週刊ポスト2019年2月1日号

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