2009年、某通販サイトが飲料等をケース単位で販売していたが、本来「ケース」で価格を表記すべきところを「単価」で表記してしまった。すぐにこの情報はネットを駆け巡り、本来180万円のビール6000本を6万円で実際に購入し、58万円での転売に成功した者もいる。1本5万円する工具2万本セット(10億円分)を「5万円」と表記した例もある。
2015年にも本来18万6500円のPCが1865円で売られていたことから、「みんな急げ!」とツイッターで呼びかけられ大量拡散。その後販売会社が訂正を行う騒動になった。
とにかく世の中にはお得な情報を血眼で探している人がいるわけなので、ネットで情報発信をするにあたっては最大限の配慮が必要だ。かつて告知手段が折り込みチラシや新聞広告等に限られていた時代は、必死に校閲し、価格の誤表記はせぬよう万全の体制を組んでいたものだが、ネットの情報発信はお手軽なだけにチェックが緩くなりがちである。
なお、前澤氏は某番組で紹介された難病の子供を救うために自分の個人的寄付に加え、「1RT10円」の寄付をするとツイート。これに対しては「黙って寄付すればいいのに」といった批判が出たほか、前澤氏のことを「RT乞食」と呼ぶ人も出てきた。要するにRTのためならなんでもやる人、ということだ。まさか「乞食」に群がられていた同氏が「乞食」扱いされるとは。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2019年2月1日号