この入り組んだ関係を俯瞰してみると、「民間試験導入」でベネッセは新市場を、導入を主導した安西氏はポストと報酬を、文科省は新たな天下り先をそれぞれ手に入れる──そんな構図が見えてくる。1月10日、都内の会合から出てきた安西氏に、筆者はこの点を直接、問い質した。
「それ(評議員就任と中教審答申)は全く関係ないと思う」
──答申直前に評議員に就任されたことは適切だったとお考えですか。
「えーと、それはちょっと(回答を)考えますけど」
──CEESからは報酬は受け取っていますか?
「受け取っていないです。ええ、1円も」
一方のベネッセは、安西氏に答申の方向性の希望を伝えるなどしたのではないかとの問いに「一切ない」(広報・IR部)としたが、報酬については「評議員の方にお支払いしている固定の報酬はない」という表現の仕方をする回答だった。
受験生の人生を左右する入試には、何よりも「公正さ」が求められる。新たに導入される入試制度の運営体制は、その条件を満たしているのか。
●取材・文/広野真嗣(ノンフィクション作家)