日本総研主席研究員の藻谷浩介氏
第二次安倍政権が発足した2012年から2017年の就業者数を総務省労働力調査で年齢別に見ると、15歳から39歳の若年現役世代は、少子化の煽りを受けて113万人も減少。一方で65歳以上の就業者数は211万人増加した。40歳から64歳の現役世代も162万人増えたが、これは女性の働き手が増えたからだ。
“ひとり勝ち”とされる首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)でさえ、住民票ベースで2013年に2346万人だった生産年齢人口(15歳~64歳)は、2018年に29万人減った。一方で、2013年に778万人だった65歳以上は2018年に109万人増加し、そのうち75歳以上が77万人を占める。
しかもこの先はボリュームの大きい団塊世代が75歳を超えてだんだん働けなくなり、5年間で100万人単位の人手不足が発生する。前述の通り、35万人程度の外国人を受け入れてもこのギャップは埋められない。
どの国から労働者が来るのかという問題もある。政府は、中国、タイ、ミャンマーなどアジア9か国で、新たに設けた在留資格のために必要な日本語試験を行うというが、実は多くのアジアの国では日本同様に少子化が進んでいる。
最たる例が人口14億人の中国だ。国連人口部の予測では、2015年に10.1億人だった中国の生産年齢人口は、2020年に9.9億人になり、1440万人減少する。その一方、2015年に1.3億人だった65歳以上は、5年間で3818万人も増加する。中国はこれから日本以上の「老人大国」になるのである。