国内

中国政府主導で医薬品増産、コスト優先で安全性疎かに

日本の医薬品に中国の原薬が混入か(時事通信フォト)

 中国の旧正月「春節」の大型連休は2月4日から10日までで、日本の繁華街や観光地も大いに賑わいを見せた。中国人観光客の故郷へのお土産といえば、「日本の医薬品」が人気だ。実際、春節中は日本のドラッグストアで市販薬が爆買いされた。

「中国人は、中国産の医薬品の安全性や効果を疑っています。中国国内には偽造薬が多く出回り、“国産薬をのんで体調を崩した”といったトラブルは後を絶ちません。だから、旅行先で安全な医薬品を買いだめして帰国するんです」(中国情勢に詳しいジャーナリストの奥窪優木さん)

 ところが、その安全なはずの日本の医薬品に、まさか「中国産」が交ざっているとしたら──。

 製薬業界のトップブランド「ファイザー」日本法人の主力商品で2月8日、深刻な事態が発覚した。高血圧症治療剤「アムバロ配合錠『ファイザー』」の原薬(医薬品の成分)に発がん性物質が混入しており、服用すると重い健康被害が出る恐れがあることが判明し、76万4000錠の自主回収が発表された。

 発覚のきっかけは、昨年7月、日本の製薬会社「あすか製薬」の高血圧症治療剤「バルサルタン錠『AA』」に発がん性物質の混入が見つかったことだ。

「問題の降圧剤には、中国の医薬品メーカー『華海薬業』が製造した原薬が使われていました。昨年8月には中国の製薬会社『浙江天宇薬業』の降圧剤でも発がん性物質の混入が明らかになり回収されました。事態を重く見た日本の厚労省が各製薬会社に注意をうながしたところ、今回、ファイザーでも発覚したわけです」(製薬メーカー関係者)

 国内の製造過程で細心の注意を払っても、海を渡ってくる医薬品や原薬、原料(原薬のもととなる化合物)に問題があれば、対処することは難しい。

 ファイザーの原因はインド製の原薬だったが、「諸外国の中でも注意すべきは、医薬原薬、原料の輸出大国である中国です」と指摘するのは、海外の医薬品事情に詳しいジャーナリストの郡司和夫さん。

「食の危険に目がいきがちですが、中国は医薬品や原薬、原料の製造・管理もずさんです。特に高齢化が進む近年は、政府主導で強引に医薬品の増産が進められており、コスト削減のために安全性が疎かにされています」

 拓殖大学海外事情研究所の富坂聰教授が補足する。

「特に地方では従業員の知識不足から、製造ラインを充分に洗浄せずに作業して、前後の原料の成分が混ざってしまったケースがあります。また、さしてよく考えずに業者から言われるがまま、不必要な成分を添加してしまうこともあり、薬の安全性に影響が出ています」

 昨年7月には、中国の製薬会社「長春長生生物科技」の狂犬病ワクチンが4年以上にわたって、期限切れの成分や製造時期の違うワクチンを混ぜて作られていたことが明らかになった。

 驚くべきは、今年2月6日、製薬会社「上海新興医薬」が製造した血液製剤からエイズウイルス(HIV)の陽性反応が出たことだ。汚染された血液製剤約1万2000本は、すでに中国国内の医療機関に出回っているという(本誌取材に、厚労省担当者は「正規ルートでは日本の市場には出回っていない」と説明した)。

※女性セブン2019年2月28日号

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