さらにモスフードサービス。同社は昨年9月、食中毒事件を起こしてしまい、同月の既存店売上高が、前年比で84.9%まで落ち込んだのは致し方ないとして、10月から今年1月までの4か月の売上高も前年比で85.1%→87.1%→91.6%→89.2%と、依然低空飛行が続いている。
モスも低価格のマクドナルドと高価格帯のグルメバーガーに挟撃される形で存在感が希薄化しているとの声が多い。この点に関し、同社の中村栄輔社長は昨秋の中間決算説明会の際、
「中間価格帯でもやれる。そこのポジションでのモスの良さが、しっかり伝わり切れていなかった。2019年春までに当社独自のポジションをもう一度再確認し、施策を発表したい」
と語り、今年5月の本決算発表時には詳細を明らかにするとしていた。だが足元の数字を見る限り、劇的に回復する打ち手があるのか、業界関係者は懐疑的だ。
昨年、第3のビールでヒットした「本麒麟」(キリンビール)。ニアビールと言われるほど、ビールに近い味わいを出せたことがヒット要因と言われた。逆に言えば、それまでの第3のビールは「本当はビールを飲みたいけど価格が高い。でも第3のビールは美味しくないし、それで我慢するなら缶チューハイでいい」と考える層を放置してきたともいえる。ビール業界も、消費者の低価格志向が鮮明になっている業界だ。
秋に控えた消費増税は今回、8%からわかりやすい10%に上がることで、特に主婦層の財布の紐が想定以上に固くなると予想される。可処分所得に占める消費性向も上がらない中で、低価格帯商品の競争はさらに熾烈さを増し、中途半端な中間価格帯商品はあっという間に脱落していく時代といえそうだ。