ライフ

大坂なおみ動画騒動から考える 錯綜とした現実と人種差別

評論家の呉智英氏

 大坂なおみのPR動画をはじめ、「黒人」や「有色人種」に関して考現学の観点から様々な事例をとりあげてみると、錯綜とした現実が見えてくる。評論家の呉智英氏が考えた。

 * * *
 テニス選手大坂なおみのキャラを使ったネットのPR動画が批判されている。大坂はハイチ系米人の父と日本人の母との混血である。ことわっておくが、日本語の「混血」を差別表現として排斥し、英語の「ハーフ」を強制する厚顔なアジア蔑視の風潮に、私は断じて与しない。でも、人権思想ってもともとそういう偽善的差別思想だよ、というのなら話は別だが。

 本題に戻って、この動画だ。大坂の顔がほとんど白人のように白い。“忖度”が働いたらしい。彼女が黒人系だと思われたら失礼になるからと。動画の製作者は恥ずべき連中だ。批判も当然である。

 同じような例を二〇一七年十一月十四日付朝日新聞が報じている。

 ハリウッド女優ルピタ・ニョンゴは、英国の雑誌の表紙写真で縮れ毛を修正され、抗議して謝罪させた。ニョンゴは両親がケニア人。肌は黒く髪は縮れている。それを「欧州中心の概念に当てはまるように修正」されたことに抗議したのだ。彼女の抗議も当然である。

 この記事にはオチもついている。この写真を撮ったカメラマンは、在米のベトナム人だというのだ。同じ有色人種としての“忖度”があったのだろうか。

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン