それにしても「黒人問題」は根が深く奥が深い。
二〇一四年一月十八日付中日新聞に刀剣専門誌「銀座情報」二月号の広告が載った。その「今月のトップ情報」が「くろんぼ切りの異名で知られる太刀 景秀」。
新聞紙面に「くろんぼ」という言葉が出るのは何十年ぶりだろう。というより、出たことがあるのか。遠藤周作『黒ん坊』(毎日新聞社、一九七一)と十一年後のその角川文庫版の時は、どうだったか。書評は出たのだろうか。
遠藤の『黒ん坊』は『信長公記』にも記述のある織田信長のもとに南蛮人が連れてきた黒人の話である。名刀くろんぼ切りは、黒人を切ったという説もあるが、黒い妖怪、あるいは猿の異称とする説もある。後二説の方が本当らしい。
もっと複雑な話もある。二〇一二年十二月十八日付朝日新聞の外報部記事だ。
南アフリカの人気モデル、D・フォレストは「透き通るような肌」の女性だ。子供の頃はからかわれた。しかし「私だって黒人よ」と言い返した。彼女は色素欠乏のアルビノ(白子)なのだ。差別を乗り超えて世界的モデルとなった。同じくアフリカのタンザニアでは「アルビノ狩り」が横行している。アルビノの手足を切り落として呪医に売るのだ。一人分の身体が数百万円になる。万病に効くという迷信のためだ。残酷極まりない。