マンションは、基本構造が鉄筋コンクリートである。その寿命はまだ明解にはされていないが、もって100年、適切なメンテナンスをすれば200年に延ばせる可能性も指摘されている。だが、人が住まなくなった築47年のマンションは、すでに危険な状態である。
総務省の調査によれば、現在、日本には820万戸の空き家があり、そのうち約6割がマンションなどの共同住宅だ。また、国土交通省によると2017年時点で築40年超のマンションは72.9万戸。その20年後には、これが351.9万戸まで増えるという。2017年時点で築20年以上のマンションがそれだけ存在するということだから、ほぼ確実な未来予想だ。
海外に目を転じれば、パリやローマには何百年どころか千年以上前に建設された集合住宅に、今も人が住んでいたりする。だから、鉄筋コンクリート造の日本のマンションも、そういう可能性があるなどと考えてはいけない。パリやローマの長寿命な集合住宅は石造や煉瓦造である。ヨーロッパ大陸にはほぼ地震がないので、そういった脆弱な構造でも1000年以上の建物が存在し続けることができる。
しかし、日本は地震大国である。2018年の大阪北部地震で小学校のブロック塀が崩れて女児が犠牲になった事件は記憶に新しいはずだ。
日本では鉄筋コンクリート造という丈夫な構造でなければ、集合住宅を作ることはできない。鉄筋コンクリート造の建物の躯体にはコンクリートに包まれた鉄筋や鉄骨が使われている。だが、鉄筋や鉄骨は基本が鉄である。鉄は必ず錆びる。錆びると膨張してこれを包むコンクリートを破断させる。それによって、建築時の耐力を損なう。
すなわち、すべてのマンションはいずれ廃墟になり、解体の運命は免れない。幸運なほんの一部のマンションは建て替えられて元の住民も軽い負担で住み替えられるかもしれない。しかし、そういうマンションは全体の1%か、多くて2%だ。ほとんどの分譲マンションは、今回の報道にあるような廃墟化、そして巨大な“粗大ゴミ”となる運命が待っている。