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天皇は「玉」 明治維新志士は天皇をいかに利用するか考えた

剣璽等承継の儀。1989年1月7日、正殿・松の間(共同通信社)

 平成の世を通じ、天皇は象徴天皇としてあるべき姿を模索してきた。だが、歴史を俯瞰すれば、天皇の意思に反して時の権力者が都合のよい天皇像を作り上げた時代も少なくない。ポスト平成に天皇像はどう変化するのか。現代史の専門家・秦郁彦氏と中世史の専門家・本郷和人氏が歴史を踏まえて考察する。

本郷:ヨーロッパには、栄光の古代、暗黒の中世、ルネッサンス以降の近代という形で区分する歴史観がありますが、日本の皇国史観もそれと同じです。天皇親政を理想とするので、大化の改新と明治維新が輝かしい時期であり、その間に建武の中興があったと考える。天皇が政治の先頭に立っているときが、いちばん良い時代だというわけです。

秦:戦前に東京帝大教授だった平泉澄さんもそうでした。彼は宮中で昭和天皇にご進講をしたことがありますが、建武の中興で功績のあった楠木正成を褒め称えたんですね。ところが昭和天皇は「後醍醐天皇にも失政があったのではないか」と言ったそうです。しかし明治維新の志士たちも、楠木正成に自らの立場を重ねて賞賛しました。だから、正成が忠誠を尽くした後醍醐天皇も偉いということになる。すると、南朝が正統になってしまうんですよ。

本郷:明治維新の志士たちが忠誠を誓った明治天皇は北朝の子孫なので、南朝を正統とするのはおかしい。しかし倒幕を果たした西郷隆盛らの根幹にあった水戸学では、南朝が正統です。

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