山梨県の甲府駅は、今春のダイヤ改正後も特急の停車本数は減らない


 それまでも山梨県・長野県や沿線市町村は、JR東日本と連携して中央線の利用促進を図ってきた。中央線のスピードアップを推進するべく、2008年には山梨県・長野県は中央線の沿線市町村や経済団体とともに中央東線高速化促進広域期成同盟会を結成。長野県や山梨県内の関係団体だけではなく、同会は東京都の八王子市や日野市なども加盟している。

 同会は、複々線区間の早期延長、東京圏への通勤・通学を可能にするための甲府駅を発着する普通列車の設定、特急列車の増発、携帯電話の電波が届かないトンネルの区間の解消といった要望・啓発活動に取り組んできた。

 そうした活動実績があるため、今回のダイヤ改正で特急停車駅が削減される件についても中央東線高速化促進広域期成同盟会が前面に立って反対すると思われたが――。

「今回のダイヤ改正では、甲府駅・松本駅に停車する特急列車数に変化はありません。そのため、甲府市や松本市から反対する声は出ていません」(同)

 つまり、甲府市や松本市は特急の停車本数に変化がないので、静観を決め込んだ。むしろ、特急が途中駅に停車しなくなることで所要時間が短縮されるので、甲府や松本にとっては利便性が向上するというメリットがある。

 沿線自治体の思惑にズレが生じ、利害が一致しない。そのため、中央東線高速化促進広域期成同盟会は全面的に反対表明していない。

「JR東日本も民間企業です。鉄道企業にとって、ダイヤは収益を左右する重要事項であることは承知しています。JR東日本には利用者データがあって、それを基にして特急の停車駅や本数を勘案していることも理解しています。そのデータを見せるわけにはいかないのでしょうが、せめて事前に『○○駅は特急利用者が減っているから、このままでは特急を停車させられなくなる。何らかの対策を講じてほしい』といった相談があってもいいと思うのです。事前の話し合いがなく、いきなり特急停車数を減らすJRの姿勢に疑問を抱かざるを得ません」

 中央線沿線の東京都内はともかく、山梨県・長野県は自動車社会。そのため、日常的な中央線の利用者は高校生が中心だ。ビジネスマンや観光客の利用もあるが、1997年に長野駅まで部分開業した北陸新幹線が中央線の利用者を奪うという事態を起こしている。

「それまで首都圏から白馬へのスキー客や北アルプスへの登山客は、中央線の特急に乗って来る観光客が多かったように思います。それが、長野新幹線が開業したことで、長野駅まで新幹線、そこからバスもしくはレンタカーというように動線が変わっているように感じます」(同)

 長野新幹線が開業したことで、松本市にあった支社や営業所を長野市に集約・統合する動きも見られる。

 中央線を走る特急あずさの利用者の多くは、出張のビジネスマンや観光客だった。それまで特急あずさを利用していたビジネスマンだが、長野新幹線が開業したことで状況は一変。支社や営業所が集約されれば、松本に足を運ぶビジネスマンは減少する。

 支社・営業所の統合は、沿線にある取引企業にも波及する。それが回りまわった形で、特急の運行本数削減へとつながっていく。

 特急が停車しなくなるor本数が減少すれば、地域の衰退が加速する。それだけに、沿線自治体は特急が停車しなくなるダイヤ改正を見過ごすことはできない。

 3月16日のダイヤ改正後も、JR東日本と沿線自治体の特急停車問題の綱引きは続きそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2025年11月、ホーコン王太子とメッテ=マリット妃
《彼女は17歳だよ。きっと楽しいと思う》ノルウェー王室激震、エプスタイン元被告と次期王妃の“黒塗り”メール――息子マリウスは“性的暴行”裁判渦中 
NEWSポストセブン
現地では大きな問題に(時事通信フォト)
《トゥクトゥク後部座席での行為にタイ現地の人々が激怒》フランス人観光客の“公開露出”に目撃者は「丸見えだった」 入国ブラックリストに
NEWSポストセブン
父・落合信彦氏の葬儀で喪主を務めた落合陽一氏
「落合信彦の息子という記述を消し続ける時代があった」落合陽一氏が明かした、父について語り始めた理由“人の真価は亡くなった時に分かる”【インタビュー】
NEWSポストセブン
本来であれば、このオフは完成した別荘で過ごせるはずだった大谷翔平(写真/アフロ)
《大谷翔平のハワイ訴訟問題》原告は徹底抗戦、大谷サイドの棄却申し立てに証拠開示を要求 大谷の“ギャラなどの契約内容”“資産運用の内幕”が晒される可能性も浮上 
女性セブン
表舞台から姿を消して約1年が経つ中居正広
《キャップ脱いだ白髪交じりの黒髪に…》「引退」語った中居正広氏、水面下で応じていた滝沢秀明氏からの“特別オファー” 
NEWSポストセブン
菅直人・元首相(時事通信)
《認知症公表の菅直人・元総理の現在》「俺は全然変わってないんだよ」本人が語った“現在の生活” 昼から瓶ビール、夜は夫婦で芋焼酎4合の生活「お酒が飲める病気でよかった」
NEWSポストセブン
弾圧されるウイグルの人々(日本ウイグル協会提供)
【中国・ウイグル問題】「子宮内避妊具を装着」「強制的に卵管を縛る…」中国共産党が推進する同化政策・強制不妊の実態とは…日本ウイグル協会・会長が訴え
NEWSポストセブン
大場克則さん(61)(撮影/山口比佐夫)
《JC・JK流行語大賞は61歳》SNSでバズる“江戸走り”大場さんの正体は、元大手企業勤務の“ガチ技術者”だった
NEWSポストセブン
中村獅童と竹内結子さん(時事通信フォト)
《一日として忘れたことはありません》中村獅童、歌舞伎役者にならなかった「竹内結子さんとの愛息」への想い【博多座で親子共演】
NEWSポストセブン
週末にA子さんのマンションに通う垂秀夫氏
垂秀夫・前駐中国大使が中国出身女性と“二重生活”疑惑 女性は「ただの友達」と説明も、子供を含む3ショット写真が本物であることは否定せず 現役外交官時代からの関係か
週刊ポスト
青木淳子被告(66)が日記に綴っていたという齋藤受刑者(52)との夜の情事を語ったのはなぜなのか
《不倫情事日記を法廷で読み上げ》「今日は恥ずかしいです」共謀男性社長(52)との愛人関係をあえて主張した青木淳子被告(66)が見せていた“羞恥の表情”【住職練炭殺人・懲役25年】
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長も流出の被害にあった過去が(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長の誕生日会》かつては「ご祝儀1億円」の時代も…元“極道の妻”が語る代替わりのXデー