早期に発見すれば生存率は約9割


「がんが小さいうちは、便秘の症状が出るほど腸は細くならない。しかし腸内は便が詰まりやすい状態であり、ガスが充満しています。そのため下腹部が痛んだり、不快感があったりします。何かの拍子にガスや便が抜けると、痛みも解消されるため、1日ごとくらいに繰り返されるのが特徴です」(森山さん)

 村上さんは「場所によっては、早期でも便の形状にも変化が見られる」と語る。

「直腸にがんができると、肛門に近い部分が腫瘍でふさがれるため、早期の段階でも普段の半分以下に便が細くなることがある」

 便の色にも兆候が表れる。森山さんが解説する。

「がんがある程度進行すると、その部分から出血するので、血便がでます。直腸のように肛門近くにできた腫瘍であれば、痔と同じように鮮血です。肛門から離れるほど、血液部分が変化して血の色が黒ずむようになる。

 鮮血が混じる便は痔の症状と区別しづらく、放置する人もいますが、肛門に近いがんである場合は、早期に治療しなければ人工肛門になる可能性もあります」

 変化を感じ取るために、便を観察する習慣をつけたい。

「すぐに流さず、形や色をチェックしましょう。便秘や痔持ちの人もいると思います。例えば、いつも下剤をのんでいるならば、のまなくてもやわらかい便が出るようになったとか、痔で出血しやすいならいつもより長く出血が続くとか。普段の体の状態を知ったうえで、変化を感じ取るのが大切です」(森山さん)

 獨協医科大学総合診療科教授の志水太郎医師は、体重の変化もサインだと話す。

「半年で体重が7.5%落ちると病気の兆候だといわれています。これは大腸がんにも当てはまる可能性が高い。例えば体重が50~60kgの人がダイエットをしていないのに、半年で5kgほど落ちたら疑うべきです」

 命にかかわることなので、気になったらすぐに病院へ。

「血便があるのに、“痔かもしれないし恥ずかしい”と躊躇する人もいます。しかし、軽症の痔であるならば、市販薬で治療をすれば、2週間程度で治ります。治らなければ、がんの可能性があるということ。検査は内視鏡をおすすめします。便潜血検査では痔との区別がつかないうえ、初期のがんなら陽性にならないので、見つかりづらいです」(村上さん)

※女性セブン2019年3月7日号

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