そうやって考えていくと、金正恩の行動が見えてくるのではないか。少なくとも安倍政権のような制裁一辺倒の対応にはならない。仲良く付き合っているうちに、スキがいろいろ出てくるところを狙うほうが妥協を得られる可能性が高い。
「自分がアメリカのトランプ大統領だったら……」でもよい。ニュースを右から左に流し見て終わりにするのではなく、「自分だったらどうするか」と考える癖をつける。1週間に一度でいいから、その人になりきって考えてみるのだ。
私たちは普段、どうしても同じような考え、発想にとらわれている。年齢を重ねれば重ねるほど「思い込み」に支配されがちだ。しかし、使い古された既成概念から新しいアイデアは生まれない。「自分ではない誰かになりきる」ということは、自分のこれまでの思い込みを排除することにもなる。「RTOCS」のトレーニングは、自分自身のイノベーションでもあるのだ。
※大前研一・著『50代からの「稼ぐ力」』(小学館刊)より一部抜粋
【プロフィール】おおまえ・けんいち/1943年福岡県生まれ。1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。本社ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年退社。以後、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして幅広く活躍。現在、ビジネス・ブレークスルー(BBT)代表取締役会長、BBT大学学長などを務め、日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。