大和ハウスの芳井敬一社長(撮影/山崎力夫)

──その取り組みは?

芳井:ゼネコンのフジタが2013年に仲間入りしたことが大きかった。フジタは国内のインフラだけでなく、海外事業にも長けている。1980年代から海外で高速道路工事をいくつも受注しています。フジタがグループに加わったことで、ほぼ一気通貫で事業ができるようになった。たとえば大手ゼネコンでは住宅は造れません。競合ハウスメーカーでゼネコンと提携している企業はありますが、「街づくり」という商流を一気通貫で取り組むという発想ではないでしょう。

 もう一つ、注力しているのが鉄道インフラです。フジタと大和小田急建設が合併(2015年)したことで、トンネルや線路の工事もできるようになった。そうなると、街づくりの基礎から完成形まで、ほとんどが自社グループで完結できる。

 街づくりを進める過程で、これまでは外部企業に頼っていた部分を、大和ハウスのグループ会社だけで議論していける。この優位点は大事にしていきたい。

──「大和ハウス」という社名ながら、戸建住宅事業の売り上げは全体(年間約4兆円)の10%前後。その点はどう考えていますか。

芳井:社名にある「ハウス」は戸建住宅に限らず、建物全般を意味します。ですが、住宅が当社のコア事業であることは確かです。個人の気持ち、個人のお客様をわかる会社であり続けたいと考えています。戸建住宅の比率が下がっても、精神は個人の方々に住宅を売るB to C企業であるということ。一人ひとりの顧客に対するおもてなしの心を絶対に忘れてはいけません。

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