国内

睡眠薬で便秘、胃薬でうつ悪化… 注意すべき薬の副作用

日常飲んでいる薬に注意すべき副作用があるかもしれない(写真/PIXTA)

「良薬は口に苦し」とはよく言ったもの。しかし、どんなによい薬でも、あまりにも多くのんだり、組み合わせを間違えたりすれば苦いだけでなく、毒にも変わる。多くの薬を飲みすぎた結果、害になってしまう「多剤弊害」も問題となっている。

 薬の持つ副作用について、プロであるはずの医師ですらよく知らないまま、処方している場合もある。医療問題に詳しいジャーナリストの村上和巳さんはこう話す。

「例えば循環器や血圧を専門にしている医師に、睡眠薬系の知識がないというのはよくある話。よくわからないから、『とりあえず名前を知っている有名な薬を出しておこう』と処方することもままあるのが現状です。

 一例を挙げるならば睡眠薬では便秘の副作用があるものが少なくありません。もし睡眠薬で便秘の副作用が出たら、睡眠薬が本当に必要なのか否か、服用量は適切なのかの再検討が必要です。ところが睡眠薬に詳しくない医師は、睡眠薬の副作用で便秘が出ても、体調変化が原因と判断してしまい、単純に便秘薬や整腸薬が追加され、多剤併用の泥沼に陥ってしまいます」

 実際に、薬ののみ過ぎが原因で病状が悪化した例も少なくない。新田クリニック院長の新田國夫医師が言う。

「例えば、一部の胃薬に含まれるH2ブロッカーという成分は、胃酸の分泌や胃の不快な症状を抑える半面、脳にも影響を及ぼし、その結果、うつ病や認知症を悪化させることがあります。

 そうした副作用を胃薬が原因だとは思わず、認知症が悪化したと判断し、向精神薬を投与すると、レビー小体型認知症の場合には手足が震えるパーキンソン病のような症状が悪化する。ひどい場合は幻視が出現する話はよく聞きます。こういった場合、すべての薬を一旦やめると、症状がおさまるということもあります」

 在宅医療や訪問診療に取り組むたかせクリニック院長の高瀬義昌さんも声をそろえる。

「認知症を発症した80才の男性患者が、不眠やめまいを訴えたところ、抗不安薬を複数処方された。しかしその後だんだん怒りっぽくなり、夜中に大声を出して暴れて、ついには妻を突き飛ばして骨折させてしまった。

 診察してみると、認知症の薬のほかに抗不安薬が2種類、胃腸薬4種類、降圧剤3種類など、合わせて17種類もの薬をのんでいました。そこで薬を見直し、4種類に減らしたところ、怒りっぽさが消えて穏やかな性格に戻りました。抗不安薬や抗認知症薬の中にはイライラしたり怒りっぽくなったりする副作用があるものもあり、併用したことで症状が出やすくなったのではないかと推測されます」

※女性セブン2019年3月28日・4月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン