スポーツ

江川卓氏 伝説となった「江川と西本」の本当の関係を明かす

あのライバルとの関係を語った(撮影/松本昇大)

あのライバルとの関係を語った(撮影/松本昇大)

 元祖“怪物”投手、江川卓氏。高校時代は160キロは出ていたという逸話が残る彼の進路は当時、日本中の注目を集めた。球界の歴史に残る「空白の一日」騒動を経て1979年に巨人に入団。そんな彼の最大のライバルは他球団ではなく、同じ巨人軍にいた西本聖氏だった。ドラフト外で入団し、“雑草”と呼ばれた西本氏と江川氏のライバル関係を描いた漫画『江川と西本』(作/森高夕次、画/星野泰視)が連載されているビッグコミックスペリオール(3月22日発売号)で、なんと本人たちが登場した。そのインタビューの中から、江川氏が西本氏との関係について語ったエピソードを紹介しよう。

 * * *
──ドラフト騒動(空白の一日事件)を経て入団直後、チームはどのような雰囲気でしたか?

江川:やはり自分に対する雰囲気はかなり厳しかったですね。初練習の時、キャッチボールをしてくれる相手がいなくて……チームには大学時代からの知り合いの鹿取(義隆。元巨人GM)が一足早く入団していたんですが、声をかけることすら憚られましたね。鹿取が周囲に「江川派だ」と思われるのが申し訳なく思ったからです。自分のチームなのに「アウェー」な状態でしたから。そんなポツンとしてた僕に、声をかけて相手をしてくれたのが西本でした。

──当時の西本さんの印象は?

江川:西本とは高校時代に練習試合をしていたので認識はしてましたが、申し訳ないですが投手としての印象はほぼ無かったですね。でも入団直後、ブルペンで初めて西本のシュートを見て驚きました。左投手が投げるスライダーより曲がるんですよ。「これは打てないな」と思ったんです。でもそれは西本には言わなかった。今だから言えますね。もし褒めたら、西本が調子上げて勝ち過ぎちゃうでしょう?

──シーズンが始まって相手ファンからの野次が凄かったと聞きます。

江川:覚悟してたけど、とにかく壮絶でしたね。客席からモノが飛んでくることもあったけど、しようがないと思ってました。とにかく僕とのトレードで巨人から阪神に入団することになった当時のエース・小林繁さんを超えなければ皆には認められないし、何より小林さんに申し訳ないという思いでした。ドラフト騒動時、実家は朝6時から夜中の2時まで抗議の電話が鳴りっぱなしで、受話器取ったら「バカ野郎」って怒鳴られて……おふくろは黒い髪が真っ白になりました。だから一時はもうプロなんて無理だと諦めもした。それでも入団する以上は、色んなことが待ち受けてるだろうけど、絶対に揺らいではいけないと覚悟を決めました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
身長145cmと小柄ながら圧倒的な存在感を放つ岸みゆ
【身長145cmのグラビアスター】#ババババンビ・岸みゆ「白黒プレゼントページでデビュー」から「ファースト写真集重版」までの成功物語
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン