つまり、「“黒幕=警察”は、刑事ドラマを好む視聴者のニーズに合っている」ということ。刑事ドラマの好きな視聴者は、かつて多かった時代劇が好きな人と同じように、オーソドックスな物語を好むため、“黒幕=警察”という結末の満足度が高いのでしょう。

 実際、刑事ドラマを好む人は、新作のキャスティングや人物相関図が明らかになると、すぐに「黒幕はコイツだろう」と目星をつけ、それが当たっていることが多いものです。たとえば、今冬の『トレース』と『記憶捜査』の黒幕が発覚したとき、ネット上には「やっぱりそうだったのか」という声が続出しました。その声は楽しそうであり、いい意味でのマンネリを歓迎しているようだったのです。

◆リーガルドラマの黒幕も巨大権力者

「刑事事件を扱う」という意味では、弁護士や検事が主人公のリーガルドラマも、刑事ドラマと同じように「身内のトップが黒幕」という傾向が見られます。

 今冬に放送されている『グッドワイフ』(TBS系)の最終回は、次長検事(検察ナンバー2)・御手洗(中村育二)の不正を暴く形で終了しました。

 その意味で気になるのは、23日に最終回を迎える『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)。主人公・黒川拓(坂口健太郎)の父で次長検事の黒川真(草刈正雄)が、黒幕なのか。終了後の反応も含め、注目してみてはいかがでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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