約1200年もの間大切に守り伝えられてきた、弘法大師・空海ゆかりの密教の名宝が東京に集う──。
京都の名刹「東寺」に安置される国宝11体・重要文化財4体の仏像が、東京国立博物館で3月26日から行なわれる特別展「国宝 東寺─空海と仏像曼荼羅」に出展される。史上最多となる、合計15体の仏像は如何にして運ばれるのか。その全貌に迫った。
「京の底冷え」といわれるほど、手足がかじかむような寒さを感じる1月下旬、東京国立博物館での特別展に向けた「発遣(はっけん)法要」が行なわれた。
「仏像には1200年の祈り、魂が込められています。発遣法要とは、そうした魂に一度仏様が本来おられる場所へお帰りいただき、運搬や展示等が安全に行なわれた後、無事にお戻りいただけますよう祈願する大切な儀式です」(東寺の三浦文良・総務部長)
法要後、2週間ほどかけて1日1体~数体ずつ、木箱に梱包していく。作業にあたるのは、美術品の梱包・運搬に特化した専門家、日本通運・関西美術品支店のメンバーだ。