セーラー服姿で『せんせい』などを熱唱
とはいえ、新境地に至るまでは苦難の連続だった。1986年に結婚を機に引退するも、2005年に離婚。3人の男の子を抱え、生きていくために翌年現役復帰したが、厳しい現実が待ち受けていた。
「主婦の時は子守唄すら歌わなかったので、声がまったく出ませんでした。復帰後、テレビで歌うと『昔の森昌子と違うね』という声が間接的に耳に入ってきて、悔しいし、情けなかった。ほぼ毎日必死にボイストレーニングを続け、初めてカラオケボックスにも行きました。自分の映像を見ながら歌うのは不思議な経験でしたね(笑い)」
追い打ちをかけるように2007年から更年期障害に苦しみ、2009年には子宮筋腫と子宮頸がんが見つかり、翌年子宮全摘出手術に踏み切った。暗闇の谷底に突き落とされたような日々だった。
「でも、病気を乗り越えたことで、死生観が変わりました。人間いつか必ず死ぬのだから、笑って過ごした方が得だなと。笑顔でいれば周りも幸せになると気づきました。子供たちが仕事をするようになり、肩の荷が下りて気持ちが楽になったのかもしれませんね」
長男はONE OK ROCKのTaka、三男はMY FIRST STORYのHiroとして、それぞれロックバンドのボーカリストとなって日本武道館を満員にする人気を誇る。近年、森自身のステージに2人のファンが増えているという。
「年配のお客さんが多い中で、若い女の子が団扇に“Takaママ”“Hiroママ”と書いて声援を送ってくれます。本当に嬉しいことです」