池谷先生は「うさぎさんは安泰な自分より、危うそうな自分を引き出してくれそうな人を求めている」と診断し、「東大生の三~四割が自閉スペクトラム症」という説を唱える。「そもそも大学教授は全員発達障害」で「私も社会性欠如だ」と自覚する。火花散るお二人のやりとりが痛快で、活字から青い火花が散っている。
最終章で、二人は専門の精神科医の診断をうけにいく。このドクターXがずけずけと聞く先生で、「うさぎさんって、すごく好きな人とセックスするとき、イケますか」と訊く。さらに「男性からクリトリスを刺激されたらイキますか」と問う。そして自閉スペクトラム症の「AQ-J」というアンケートを出し、数値を計算した。
はたしていかなる結果となったのか。二人に対する診断書は、最後のページに記されています。脳に関するスリル満点の対論ドキュメント。
※週刊ポスト2019年4月19日号