国際情報

海外在住邦人の滞在歴マウンティング 長いだけで上から目線

海外に滞在する日本人コミュニティに起きがちなマウンティングとは?(写真/アフロ)

 今年のGWは戦後初の「10連休」。海外旅行も思いきって遠方へ飛び立つ人も少なくないだろう。異国の地で羽を伸ばす人がいる一方、海外でも日本的しがらみに悩む人がいた──。

 学歴、年収、仕事、家族、人脈、持ち物…会話の中で、何かしらの優位性を相手に示して上に立とうとし、人をイライラ、嫌な気分にさせるマウンティング。どこのコミュニティでも起こりがちだが、海外ならではのマウンティングとは? ドイツ在住歴5年半、著書に『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)がある、ライターの雨宮紫苑さんがリポートする。

 * * *
 最近よく耳にするようになった言葉、「マウンティング」。わたしがこの言葉をはじめて聞いたのはたしか、2014年前に放送されたドラマ『ファーストクラス』でのこと。

 当時はまだ聞き慣れない言葉でしたが、現在「マウンティング」という言葉は、日常的に使われるようになっています。ではどういうときに「マウンティングされている」と感じるのか? わたしの場合それは、滞在歴自慢をされたときです。

◆滞在歴マウンティングに辟易

 1年間の留学時代を含め、ドイツでの生活ももう5年半になりました。そのなかで知ったのは、世の中には滞在歴でマウンティングしてくる人が一定数いるということ。海外在住歴が長いことを理由に、上から目線で話してくるのです。

「ドイツ語が下手でも笑う人はいなかった」と言えば、「まだお客さん扱いされてるだけなのに気づきなさい」と言われる。外国人なんて珍しくないので、いちいちお客さん扱いなんてされない気がするけどなぁ。

「ドイツにも残業はある」と書けば、「自分は○年住んだけどみんな残業はしなかったからこの記事はまちがい」というコメントが届く。必ず。100%。統計を載せて、労働研究所の方に取材をしてコメントをつけても、それでも否定される。なぜなら「先輩である自分の体験のほうが正しいから」。

 Twitter上で有名かつ何冊も本を書いているとある海外在住者には、「海外にちょっと住んだだけの若い子の情報は鵜呑みにするな」「現地で付き合っている人たちのレベルが低いからそう思うだけ」なんて書かれたことも。統計や実際の体験談も全否定。さすがに苦笑するしかありません。

 在住歴マウンティングは早いもの勝ちで後発組は覆せないので、目の上のたんこぶ感がすごい……。

◆直線的な否定よりも情報交換を

 以前この件についてツイートしたところ、5000以上の「いいね」がつき、「わたしの在住国にも滞在歴を理由にえらそうに振舞う人がいる」というコメントをいくつもいただきました。

 ほかの日本人を「新参者」「わかってない」と見下す人は一部とはいえ、どこにでもいるんですねぇ。

 たしかに、長く暮らしたことによって見えてくることもあるでしょう。でもそれなら、在住歴を理由に上から目線で否定するのではなく、「自分の場合はこうだった」と情報交換すればいいだけだと思うのですが。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン