ビジネス

ボルボ車が販売好調の訳 地味めな高級車的クルマづくりの妙

プレミアムクラスに区分けされるボルボのステーションワゴン「V90」

プレミアムクラスに区分けされるボルボのステーションワゴン「V90」

 スウェーデンの小規模乗用車メーカーであるボルボカーズのセールスが好調だ。ボルボ車といえば、“四角いワゴン”のイメージが根強いが、近年は流行りのSUV(スポーツ用多目的車)投入や性能・乗り心地の追求で目覚ましい進化を遂げている。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、今どきのボルボ車に試乗しながらその魅力に迫った。

 * * *
 ボルボは昨年、世界販売が64万台と、同社史上初の60万台超えを果たした。日本市場での販売も1万7800台。日本法人のボルボカージャパン関係者によれば、新型SUV(スポーツ用多目的車)「XC40」を発売したことで受注ベースでは2万台を超えたとのこと。全盛期のボルボの年間販売台数は2万5000台。その水準への回帰はまだ遠いが、道は見えてきたといったところであろう。

 なぜボルボがこれだけの躍進を見せているのか。それはひとえに、世界的に流行しているSUV分野でイケてるモデルを立て続けに出せたことによる。

 2015年にラージクラスSUV「XC90」を、2017年のミドルクラスSUV「XC60」をフルモデルチェンジ。さらに2017年にはスモールクラスSUV「XC40」を新規発売と、3つのSUVを短期間のうちにデビューさせた。

 その3モデルはそれぞれ、世界でさまざまなアワードを総なめにするほどの勢いだった。XC40が2018年にプレミアムブランドとしてはアルファロメオ「147」以来、17年ぶりに欧州カーオブザイヤーを獲得。日本でも2017年にXC60、2018年にXC40と、海外ブランドとしては初めて2年連続で日本カーオブザイヤーの大賞を取った。販売台数が伸びるのも道理というもので、すでに工場の生産余力をすべて使い切るくらいの状態であるという。

 だが、プレミアムセグメントは、ダイムラー(メルセデス・ベンツなど)、BMW、アウディのいわゆる“ドイツ御三家”をはじめ強力なライバルがひしめき、顧客を激しく奪い合う厳しい世界。良いクルマであることは単なる前提でしかなく、それだけで売れるものではない。

 日本では、ボルボと言えば今日でも“四角いクルマ”というイメージが強い。今でも街中で時折、「740」や「850」など、四角デザインの古いボルボを見かけることがある。が、その時代はとっくに過ぎ去っている。特に2015年デビューの現行XC90以降の新型車は、それまでの地味な印象から一転、華やかさを持たせた高級車然としたたたずまいになった。

 そんな新世代ボルボは果たしてどのようなキャラクターになったのか──SUVではない普通の乗用モデル、V90を4000kmあまり走らせ、今どきのボルボ車の特徴を探ってみた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏(共同通信)
《“保守サーの姫”は既婚者だった》参政党・さや氏、好きな男性のタイプは「便利な人」…結婚相手は自身をプロデュースした大物音楽家
NEWSポストセブン
松嶋菜々子と反町隆史
《“夫婦仲がいい”と周囲にのろける》松嶋菜々子と反町隆史、化粧品が売れに売れてCM再共演「円満の秘訣は距離感」 結婚24年で起きた変化
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン