サートゥルナーリアを管理する角居勝彦調教師

 ちなみに2倍台の1番人気馬が勝てなかった時の勝ち馬は、2番人気馬が1勝だが3番人気は3勝。ついでにいえば、1倍台の人気馬が唯一敗れた(2007年フサイチホウオー)ときに勝ったのも3番人気馬(ウオッカ)だった。前述のように、2番人気より3番人気のほうが勝率、連対率ともに上。3着以内に入ったのは3番人気馬が17回だったが、2番人気馬は8回のみ。これはちょっと覚えておきたい。

 今回話題になっているのが乗り替わり。なにしろ平成30年間、前走から騎手が乗り替わってダービーを勝ったケースは1度もないのだ。一番最近では1985年のシリウスシンボリが岡部騎手から加藤和宏騎手への乗り替わりだったが、もともとは加藤騎手のお手馬だった。テン乗りということになると、1954年までさかのぼらなければならないそうだ。

 もちろんレーン騎手は、今回初来日でほとんどが乗り替わりの59騎乗機会で15勝2着6回(5月19日終了時点)という成績を残しているし、テン乗りでGIヴィクトリアマイルとGIII新潟大賞典を勝っている。なにより、いまさら他のリーディング上位騎手を確保するのも難しいだろう。

 サートゥルナーリアの場合は、ルメール騎手が短期間で同様の不注意騎乗ということでの16日間の騎乗停止によるものだった。制裁の対象がNHKマイルカップだけだったら、ダービーには乗れていたのだ。そして、ダービーを勝つのは「運のいい馬」と言われている。乗り替わりが不安要素の一つであることは間違いない。

 関係者の思いが大きな力になるのがダービーだ。クラシックを目指す馬というのは、早々と主戦騎手を決めて、ともに戦うという意識が大事だという。たとえ前走で結果が出なくても、だからこそダービーでは挽回してくれるのではないかという思惑もある。

 オークスでは2012年のジェンティルドンナなど3頭が乗り替わりで戴冠していることからみても、やはりダービーには見えざる力が働いているのだろう。

 そこでまず3強のなかでは3番人気に落ち着きそうなダノンキングリー。デビューからずっと戸崎圭太騎手で3連勝。新馬戦で2着に下したのはオークスで波乱の立役者になったカレンブーケドール。共同通信杯では後にNHKマイルカップを勝つアドマイヤマーズに競り勝っている。

「ダノン」といえば、昨年のランキング13位の有力オーナーの冠号だが、2010年のNHKマイルカップを勝ったシャンティがダーレー・ジャパン・ファームなのをはじめ、シャーク(2014年マイルCS)、プラチナ(2014年朝日杯FS)、プレミアム(2017年朝日杯FS)などは日高地方の牧場の生産馬で、社台グループの牧場以外でも実績を上げている。

 キングリーも浦河の三嶋牧場産。昨年の秋華賞の2着ミッキーチャーム、3着カンタービレの生産でも知られている。今年はマスターフェンサーが果敢にケンタッキーダービーに挑戦した。ノーザンファームの独走に待ったをかけるとしたら、こういう牧場の馬ではないか。ちなみに武豊騎手が「テン乗り」のメイショウテンゲンもここの生まれだ。

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