「高齢になると、環境の大きな変化もリスクになります。症状も、落ち込むだけではなく、体の不調などいろいろな形で出ます」と教わった。疲れすぎや生活が不規則にならないようにとのアドバイスも。
当時の私には、医師の話の中の“高齢”という言葉も小さな衝撃。自分の親が高齢者なのだと気づかされたのだ。
結局この“認知症騒動”は落着し、うつの方も、通院には至らなかった。
この後、父と母は新居の暮らしを満喫しながら、徐々に認知症らしい症状が出始め、6年後、母には正真正銘の認知症診断が下された。父の急死、人生初の独居、愛犬ももちゃんとの別れ、そして今の住まいのサ高住への転居と、母にとっては激動の日々が続いた。折々精神科医の言葉がよぎり、私も不安の連続だったが、母はなんとか乗り切った。
今では周囲にこう豪語する。
「一時は認知症かと思ったけれど、違ったのよ。医者が断言したんだから。引っ越しうつなんですって(笑い)」
※女性セブン2019年6月13日号