4 つの部屋はそれぞれ三浦半島の自然をイメージした名前がつく。写真は「たね」の部屋

 その後、山梨、埼玉県内の自然学校の職員として林間学校の運営に携わるが、“学校”ゆえに、一人ひとりの子供に手をかけてあげられないのが残念で仕方なかったと言う。

「だから、毎年夏休みには、ここで子供たちの合宿を開催しています。海や山で一緒に思いきり遊んで、ごろ寝するんです」(ころすけさん)

 遊び疲れてご飯をいっぱい食べ、この部屋で眠ったらどんなに幸せだろう。大人も想像しただけで心をほぐす癒しの力が、この宿にはある。

◆「若い人ほど傷のある古材を好みます」

 ころすけさんが古民家の内装や補修に使ったのが、取り壊される日本家屋の古建材や建具、道具を買い取り、修繕し磨きをかけて販売する「桜花園」のもの。

 もともとは、骨董や古道具が専門だった社長の熊田辰美さん(65才)。ある日、家を建て壊すから、道具を見に来てくれとの依頼を受け、出向いた先の依頼人宅を見て人生が変わった。

「とても立派で美しい日本家屋で、私は『本当にこの家を壊しちゃうんですか?』と唖然としました。木は、腐らなければ何百年でももつのです。一度家を建てたぐらいで廃材にするなんてとんでもない話で、これは小道具なんかと遊んでいる場合じゃない…と、古材や建具の買い取りを始めたんです」

 1998年に、三浦郡葉山町で大工の作業場だった場所を廃材や古建具を使って改造し、古材、アンティーク建具販売業として再スタートした。別荘文化として栄えた湘南地区には、良質な材木を使った日本家屋も多く残り、また、農家も多いことから、大黒柱や梁なども多く残っていた。

「昔の材木がなぜよいかと言うと、水分が完全に抜けて乾燥しているから。建材としてゆがみやひび割れが出にくいんです」(熊田さん)

 熊田さんは、住宅や店舗の新築あるいは改築の際に、古材をワンポイント取り入れることをすすめる。

「最近は店舗などに、あえて傷のある古材を好む若い人が多いですね。柱の傷は人の営みの記憶。温もりを感じるのでしょうか」(熊田さん)

※女性セブン2019年6月13日号

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