ライフ

三崎漁港から近い美しい古民家“アップサイクル”の宿

ベッド&ブレックファスト ichi。1階はカフェ&バーになっていて、朝食もここでとる

「アップサイクル」とは、廃棄されたものに手をかけ、新たな付加価値をもたせる手法のこと。古着や古材はもちろんだが「古民家」のアップサイクルも注目されている。

 三崎漁港から徒歩約10分、夕暮れの路地を歩いてくると、ガラス戸を通して、「ベッド&ブレックファストichi」の灯りが見えてくる。築80年の古民家で、“ころすけさん”こと成相修さん(35才)が妻の祐美さん(35才)や仲間と半年かけて宿屋に改装した。

 思わずフラリと引き寄せられてしまうのは、古民家のやわらかな佇まいとガラス戸の向こうの笑顔のせいだ。日本人としての“懐かしい”スイッチがONになるのかもしれない。

「三浦半島で宿をやりたいと物件を探している時に、友人が空き屋だったここを紹介してくれたんです。それまでこの家は、マグロ漁船員の下宿だったり、髪結い処だったり、作家のかたが住んでいたことも。4部屋つくるために改造しましたが、できる限り元の建具や設えを生かしています。玄関のガラスの引き戸は、古材を扱う『桜花園』で見つけました」(ころすけさん)

 ichiは1泊1食(朝食)付きの宿(ベッド&ブレックファスト)で、2~3名までの個室が4部屋あり、9名まで宿泊が可能だ。人と人とのつながりを大切にしたいという思いから、基本的に5名以上の団体宿泊は受け付けていない。

 午後7時のベッド&ブレックファスト ichi。1階はカフェ&バーになっていて、朝食もここでとる。おしゃべりと笑い声が聞こえてきそうな情景は、まさに"人集うところ"だ。

 4つの部屋はそれぞれ三浦半島の自然をイメージした「さらし」「たね」「こもれび」「もく」の名が付く。小窓には、茶室で使われていた引き戸の古材を使用している。

「変わった魚が大好きなヘンな料理人」として知られる「Kai’s Kitchen」のオーナーシェフ甲斐昂成さん(35)が訪れ、不定期ではあるが、三崎の魚を使った料理イベントを開催することもある。“価値なき魚”がアップサイクルされて極上のひと皿に生まれ変わる現場に居合わせようと、泊まりがけで訪れるファンも。

 また、ころすけさんには、この宿を拠点に実現したいことがあった。ころすけさんは埼玉県出身だが、小学生の時はアカテガニの観察で毎月のように三崎町にある「小網代の森」に通い、自然豊かな三浦半島を“遊び場”に育った。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年、第27回参議委員議員選挙で使用した日本維新の会のポスター(時事通信フォト)
《本当に許せません》維新議員の”国保逃れ”疑惑で「日本維新の会」に広がる怒りの声「身を切る改革って自分たちの身じゃなかったってこと」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン