ライフ

確保が困難な「ペットの献血」最新事情、謝礼はある?

日本動物高度医療センターでは、献血ドナー登録をすると、年2回の定期採血が行われる(写真提供/日本動物高度医療センター)

 6月14日は「世界献血者デー」。事故や病気の手術、貧血の原因となっている病気の治療などで、猫や犬も輸血を必要とする時がある。ところが人間に比べ、ペットの血液の確保は難しいよう。

 愛猫・愛犬がいつお世話になるかわからない輸血のための“ペットの献血”。その現状をレポートします。

 人間の場合、全国各地に日本赤十字社の血液センターがあり、緊急時も安定して血液が確保できるよう、献血システムが確立している。

 しかし、動物医療向けとして、今の日本にそういったシステムはない。そのため、輸血に必要な血液は、病院ごとで用意せざるを得ないと、日本動物高度医療センターの獣医師・石川武史さんは言う。

「輸血医療は、ペット同士の献血協力により成り立っています。ところが近年、充分な血液を確保するのが困難な状況が続いています。当院でも、随時献血に協力してくれる犬や猫を募集しています」(石川さん・以下同)

 かといって、どんなペットからも献血できるわけではない。病院ごとに献血可能な採血基準があるという。日本動物高度医療センターで献血してもらう猫の場合は、年齢1~7才、体重4kg以上、混合ワクチン接種を毎年受けている、輸血を受けたことがない、妊娠・出産の経験がない、猫免疫不全ウイルスなど血液媒介性の感染症にかかったことがない、などの条件がある。

 猫の場合、1回の採血量は体重1kg当たり10mlなので、30~50mlぐらいは採血することになる。

「衛生かつ安全な血液の確保のため、まず採取する首筋付近の被毛を剃り、消毒します。採血中はじっとしてもらうのが理想ですが、猫の場合は難しいので、鎮静薬を投与することが多いです」

 採血時間は15~30分程度。献血で得た血液は、犬に比べて長期間の保管が難しく、また慢性的な血液不足のため、すぐに“患者”へ輸血されることが多いという。

手術などで輸血が必要になった場合、飼い主の知り合いの猫や、動物病院のスタッフが飼っている猫に協力をお願いすることも。また、輸血するための「供血猫」を飼っている病院もある。

 また、動物にも“血液型”はある。

「猫はA型・B型・AB型の3種類に分類でき、特に多いのがA型です。アメリカの統計によると、短毛の雑種猫の96~99%がA型で、アメリカンショートヘアに至っては100%がA型です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン