ライフ

若者が大行列のタピオカとうどんの知られざる密な関係

タピオカ販売店の前ではそこかしこで行列ができる

 そこかしこで若者が行列をなしているタピオカだが、実は庶民にとって案外身近な食材である。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 台湾発のタピオカ人気が止まらない。若者や学生の集まる町では続々とタピオカミルクティーを提供する業態の店舗が立ち上げられている。

 原宿・表参道あたりを歩いてみると、確認できるだけで30以上の店でタピオカドリンクが売られている。その熱は引きをも切らず、新宿、池袋、上野などの繁華街や高田馬場などの学生街でも、今年に入ってからも新店がオープンするほど。

 こうして可視化されると「タピオカ」がいきなりスターダムに駆け上がったかのように思えるが、以前にも1990年頃、バブル終盤に一時的にタピオカデザートがブームとなったことがあった。さらに言えば、ブーム以前からタピオカは庶民の食のなかのそこかしこに使われてきた。

 象徴的な食品が「うどん」である。とりわけ冷凍うどん界において、タピオカはコシを出すための加工でん粉として欠かせない素材となっている。

「うどんの命はコシ」と言われることが多いが、コシだけがうどんの味ではない。コシ、粘り、つるみ……食感だけでもいくつもの要素がある。

 例えば、小麦粉由来のでん粉を鍛えたうどんはいったん茹でて心地いい食感になったとしても、その後低温で保存されるとぼそぼそした食感に変化してしまう。これはでん粉の「老化」によるもので、てっとり早く解決するにはでん粉の種類を変えるのが効果的だと言われる。

 タピオカでん粉を原料とする酢酸デンプンなどの加工でん粉は粘度が高く、老化しにくい「耐老化性でん粉」と言われるもの。日本人が麺類において重視すると言われる小麦粉の「粘弾性」を安定して出すことができる素材で、麺に必要なもちもちとした食感、のど越しのいいつるみ(滑らかさ)、白さなど、うどんにうってつけの素材とされている。

 原料小麦粉の2割程度、タピオカ由来のでん粉を入れることで、冷凍うどんはもちもちとした食感を強調した、よりうどんらしい食感になるという。こうした使い勝手のよさが重宝され、タピオカ由来に代表される「耐老化性でん粉」は冷凍うどん以外にもそば、ラーメン、パスタなど多くのチルド麺に使われている。

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト