「タワマンに住む子どもは近視になりやすい」という書物も参考になった。
最近、慶應義塾大学医学部眼科学教室の鳥居秀成医師らによって、日光に含まれるバイオレットライト(紫線)に近視を予防する働きがあるという研究が発表されて注目を集めている。紫線は可視できない。しかも一部のガラスはこれを遮断している。つまり、室内にいる時間が多い子どもは近視になりやすいという仮説も成り立つのだ。
フィジカルな健康面だけでない。タワマンに好んで住む大人は、階層ヒエラルキーを意識している場合が多い。上層階に住むほどエライという歪な価値観だ。そして、親がそう考えていると、それは自然に子どもに伝わる。
「お前のところは〇階だろ。うちは〇〇階だ」
子どもたちの会話にそういったフレーズも出やすくなる。大人の場合は、エレベーターの乗降などの場面で、それを異様に意識してしまったりもする。中には、同じタワマンの上層階へと何回も買い替えをする人も珍しくない。大人は自業自得だろうが、子どもの心の成長にはよろしくない価値観だ。
調べれば調べるほど、日本人が平気でタワマン居住の子育てをしていることが危うく思えてきた。拙著ではさらに詳しくその危険性を専門家の主張やエビデンスを交えながら指摘した。
タワマンの上層階に住むことが、子育てや健康面に数々の悪影響をもたらしているのだとしたら問題だ。これだけタワマンが急増した今こそ、きちんとそのリスクを調査・研究する必要があるだろう。