私は著書を書くにあたって、東京在住のイギリス紳士2名に取材した。詳しくは聞かなかったが、ともにエリート層である。彼らに、「ロンドンにタワマンがあったとしたら、住みたいと思うか?」と直球の質問をしてみたところ、2人は顔を見合わせてちょっと困った顔をした。

「主たる住まいとしてはどうかな。時々使う住まいとしてなら可能性はある」と答えてくれた。さらに「タワマンで子どもを育てるか?」と聞いてみると、2人とも即座にそれを否定した。「子どもはカントリーで育てるよ」

「ロンドンだと職場に近い。カントリーだと通勤時間が発生するので不便ではないか」と、子育て中の編集者が尋ねると、彼らは「なぜ?」という顔をした。

「子どもを育てている時に通勤時間がかかる郊外に住むのは当たり前だろ」

 それがイギリス紳士2名の常識だった。この取材の他にも、ヨーロッパで暮らす人々への小規模なアンケート調査を行ったが、結果は同じ。一時的にタワマンに暮らすことには抵抗感がない人も多いが、子育てについて強烈な拒否感を持っていることが分かった。

「タワマンの上層階に住む子どもは成績が伸びない」

 そういう主張をしているベテランの家庭教師がいる。彼は自分が経営する家庭教師派遣会社において、それを実証するデータを保持している。

 成績が伸びない理由は、タワマン上層階に住む子どもは外出の機会が少なくなるから自然現象に接する体験が不足しているのだという。その結果、普通に外遊びをした子どもよりも物事に対する理解力が弱まるそうだ。

 外出が少なくなることの弊害が多そうだということは、ある小学校教師の体験談を側聞したときにも感じた。

「タワマンに住んでいる子どもは落ち着きがない」──その教師はタワマンが多くあるエリアで勤務した経験が長いのだが、そう感じることが多かったという。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
2週連続優勝を果たした 竹田麗央(時事通信フォト)
女子ゴルフ 初Vから連続優勝の竹田麗央(21) ダイヤモンド世代でも突出した“飛ぶのに曲がらない力”
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン