盛り上がる年金デモ(時事通信フォト)

 自民党がまとめた案によると、新たな地方議員年金には年間ざっと200億円の税金が投じられる。

 簡単にいえば、地方議員は支給額の低い国民年金を脱会し、自治体職員と同じ地方公務員共済に加入させることで、年金保険料の半分を税金で負担して手厚い給付を受けられるようにする。対象の地方議員は3万3000人だ。ちなみに健康保険も国保から共済になるため、議員が払う毎月の健康保険料は半額に減る。こちらの税負担は年金とは別に100億円かかる。政治学者の後房雄・愛知大学教授が指摘する。

「会社勤めをしていない自営業者など一般の国民は国民年金でやっている。地方議員も被用者ではないから国民年金が当たり前。それを自分たちだけ特別扱いで共済に入れろというのは特権意識以外の何物でもない。しかも、制度を作るのは議員だから、お手盛りの法改正をしようとしている」

 完全な特権復活だ。もちろん、国会議員たちが地方議員にだけ“うまい汁”を吸わせるはずがない。その先にあるのが国会議員年金の復活だ。

 言い出しっぺの竹下氏(2000年初当選)も、「若くして国会に出た議員は」と国会議員の年金復活を念頭に発言しており、知事など自治体の首長や公務員には退職金や年金があるのに、「議員だけ貧乏でいいというわけではない。大事なのは議員に仕事をさせることだ」と語っている。

 ちなみに国会議員年金は廃止時点(2006年)で勤続10年以上だった議員には受給資格(15%減額)があり、1993年初当選で勤続13年だった安倍晋三首相は年約350万円、勤続24年(1979年初当選)の麻生太郎・副総理兼財務相は年450万円近くの議員年金を引退後に受給できる計算だが、2000年初当選の竹下氏はもらえない。

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