「希林さんは邪心がまったくない、純粋で、すごく面白くて、楽しい人でした。特に思い出深いのは、エジプトロケ。私、郷ひろみちゃんのファンで、希林さんはそれを知っていました。
ロケ先のホテルでのこと。女部屋に男の俳優さんたちもみんな呼んでおしゃべりしているうちに“ひろみちゃんも呼ぼう!”ということになったの。ひろみちゃんはしっかりした子だから“明日の撮影があるので、帰ります”と言って早々に引き揚げたんだけど、部屋に鍵がかかって入れなくて。
そしたら希林さんが気を利かせて部屋割を変えてくれて、ツインルームの1つのベッドにひろみちゃんが寝て、もう1つのベッドに希林さんと私が一緒に寝たんです。ドキドキしていると“あなたダメよ、襲っちゃ”なんて言われてね(笑い)」
ドラマが終わった後も親交は続いたが、関係が深まったのは60才を過ぎてからだという。典子さんが母親を90才で亡くした時、樹木さんは「おめでとう」と声をかけてくれ、涙が出るほどうれしかったという。
「母を経済的に面倒を見ていたので、経営している小さい会社を辞めたくても、ずっと辞められなかった。毎週実家に通って1週間分の食事を作って届けたり、入院中は午前中仕事を休んで行ったりして、なんとか続けていたけれど、苦しくて苦しくて。それを希林さんは知ってくれていたので、“ホッとしました”と言うと、“おめでとう”って返してくれたんですね。そんな言葉は初めてだったから、本当にうれしかった」(典子さん)
※女性セブン2019年7月25日号