ビジネス

人気薄のマーチをNISMOで補強した日産「作る力」の今

日産自動車の「MARCH(マーチ)NISMO S」

日産自動車の「MARCH(マーチ)NISMO S」

 カルロス・ゴーン前会長の逮捕の余波を受けて業績悪化に苦しむ日産自動車。だが、販売台数の低迷は、必ずしも不祥事の影響ばかりとは限らない。質より量を求めすぎて魅力的なクルマが少なくなってしまったことも要因だろう。そんな中、“技術の日産”の復活を期待させるようなキラリと光るモデルもある。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が試乗で高評価したのは、日産のモータースポーツブランドNISMOの市販車モデル「MARCH(マーチ)NISMO S」だ。

 * * *
“ゴーンショック”に端を発したルノーとのアライアンス危機、販売台数の減少、業績悪化と、何とも精彩を欠く日産。今年6月の株主総会は何とかうまく切り抜けたが、業績回復のメドはまだ立っていない。

 グローバルビジネスのなかでもとりわけ厳しい状況に陥っているのは日本市場。今年新型に切り替わった軽自動車「デイズ」はそこそこ売れているものの、収益性の高い普通車の販売が不振だ。

 この状況を打開するのは容易ではない。西川廣人社長が「日本市場を軽視するような判断があった」と認めるように、ラインナップは手薄もいいところ。販売台数を稼げているのはサブコンパクトの「ノート」、ミニバンの「セレナ」、SUVの「エクストレイル」くらいのもので、あとは長いものでは10年以上モデルチェンジもせずに放置していたようなモデルばかり。

 乗用車のようなエンドユーザー向け商品を扱う企業が苦境に立った時、それを打開する有効策のひとつは商品で頑張ることなのだが、頑張ろうにもタマがないのだ。

 2年前の完成検査不正や昨年のゴーンショックでブランドイメージは大きく傷ついたが、それは単に不祥事が嫌われたというだけではないだろう。日産を積極的に選ぶ理由に乏しいクルマばかりが増え、ファンのブランドロイヤリティを高めるようなクルマが長いこと出てこなかったことで、日産のコアユーザーの心はすでに日産から相当に離反していた。不祥事はその流れを表面化させたにすぎない。

 果たして日産はこのまま、白物家電のようなクルマばかりを作る没個性的なブランドになってしまうのか。コアユーザーが疑念を抱いているのは、日産に日産ならではと感じさせるようなクルマを作る力が今もあるのかということと、日産にそういうクルマを作る気があるのかという2点だろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト