5.目が離せない、深い日常性
警察も医者も弁護士も殺人事件も出てこない。けれどぐいぐい引っ張っていく日常の中のドラマツルギー。心の揺れやブレ、迷いや恐れ、喜びを細やかに描き出すのはいわば日本のドラマのお家芸でこの作品はその王道を突き進みそう。
6.漫画ファンを裏切らず巻き込む勢い
原作はコナリミサトによる同名漫画。人気漫画のドラマ化は、反発もつきもの。しかし第一回目が終わると「漫画の世界観をトレースした上で、良い意味で超えている」と原作ファンからも絶賛の声が。
7.ソリューションの提示とヒーリング効果
前クールの『わたし、定時で帰ります。』にも見られた現象で、ドラマが提示した問いかけを視聴者が受けとめ、自分の生活を振り返り、解決策を探す-つまりドラマと視聴者のやりとりが生まれてきそう。「もうちょっと力を抜いて生きてもいい」「人生の選択肢はいろいろある」というアドバイスは、ストレスに負けそうな視聴者の心を癒やす。
8.役者の新たな魅力を発掘しそうな予感
ゴン役の中村倫也が新境地を見せてくれそうな気配。凪をハグしたシーンでは胸キュン死が続出。役者たちの新たな側面や力を発見できそうなドラマは目が離せない。
9.「空気は読むものではない、吸って吐くものである」-簡潔で深い哲学的テーマ
一回視聴したら次へと消費するのではなく、何度でも噛みしめ味わうことができるドラマには、物語の奥に思索や哲学が必須。
──日常に生きる平凡な人々の感情の揺れを丁寧に克明に描き出した時、破壊力を発揮するのが日本のドラマ。凪のような人物は世の中に案外多いのかもしれません。どこにでもいそうな女性の冒険譚として大きくはじけるか? 今後の勢いに注目したいと思います。