芸能

黒木華『凪のお暇』 傑作を予感させる9つの理由

充実したキャスティングも魅力(番組公式HPより)

 いよいよ夏ドラマが船出している。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が注目する作品について言及した。

 * * *
 今期ドラマで「一推しの傑作」と言えそうなのが、黒木華主演のドラマ『凪のお暇』(TBS系金曜夜10時)。物語は…空気を読みすぎて生きづらい28歳OLの大島凪(黒木華)が主人公。彼氏の慎二(高橋一生)と結婚するつもりだったのに、凪のいない場所で「体の相性がいいだけ」などと言い放つ慎二。それを聞いてしまった凪は過呼吸で倒れ会社を辞め人生をリセット。貧乏アパート暮らしを始め隣人たちの風変わりなキャラクターに衝撃を受けて……。

 このドラマが今期「一推しの傑作」と言える理由は、9つあります。

1.女性視聴者の共感呼びまくり

 冒頭に描かれたOLの凪の仕事風景に「まるで自分を見ているみたい」と共感者が続出。「凪は身を削って空気を読んでる。観てて辛くなる」「思い当たる所が多過ぎる」という視聴者が目白押し。多くの人々の「あるある」を刺激。

 ただでさえ同調圧力が強いこの社会、特に女性の集団の場合、みんなと同じにしないと仲間はずれにされたり意地悪されたり。21世紀になっても変わらない陰湿なこの風土を、ドラマ第一話で逃げることなくきっちりと正面からリアルに描いて高い好感度を獲得。

2.男性視聴者の共感ポイントも

 女性だけでなく、男性視聴者も惹き付けられるこのドラマ。凪の元彼・慎二のモラハラぶりが、男性にとっては「あるある」ポイントの一つとか。

 普段仕事で激しくしのぎを削っているサラリーマンが、プライベートにおいては優越感を与えてくれるか弱い彼女を欲しがるというありがちなパターン。常に自分がリードしたい、相手を支配したい、というモラハラ男ぶりを慎二が見事に体現。

3.ドンピシャのキャスティング

 何と言っても黒木華が光る。おどおどした従順なOLが、ヒッピー風爆弾娘へ。サラサラストレートヘアから天パーへと、性格だけでなく風貌も含め幅のある2タイプにするりと成りかわり、不自然さを感じさせない。役者としての力量を見せつけた。

 元彼・慎二役に高橋一生、新たに出会った天然系男に中村倫也と、違うタイプをくっきりと対比させた配役も鮮やか。アパート住人の不思議な老女・吉永緑を演じる三田佳子の存在感もいい。鋼のような強さが垣間見える老女像は斬新。

4.演出の工夫が効いている

 思い切った演出が印象を刻む。例えば、凪が水の中に沈んでいく映像のフラッシュバック。当初ストーリーと直接つながらないアート的な挿入で、何を意味するのかよくわからなかった。しかしそれが過呼吸のシーンとつながり「空気を吸う」ということと関係している、とわかると、たちまち別の世界が見えてくる面白さ。そうした演出による妙味にも期待大。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン