2日目は216頭の当歳馬が上場されて90%近くの194頭が落札、総額97億8400万円は、落札頭数で今回より11頭多かった昨年を15億円も上回った。この日最高額で落札されたのは、やはりディープインパクト産駒。4億7000万円というのは、セレクトセール史上4位の落札価格だ。
当歳馬セールで楽しみなのが、つい先日まで現役で活躍していたスターホースの子どもたちだ。今年は、あのキタサンブラックの初年度産駒が登場、GI7勝をあげたジェンティルドンナの母ドナブリーニとの間に生まれた牡馬は1億6000万円で落札。一方、安田記念を勝ったサトノアラジン、皐月賞馬イスラボニータ産駒は、落札価格としてはやや伸び悩んだ。
第1回のセレクトセールが行なわれたのが平成10(1998)年。当時はSS産駒の全盛期で最高1億9000万円をはじめ、7頭が1億円を超える値を付けた。そのうちの1頭が、有馬記念などGIを3勝し、種牡馬としても数々の活躍馬を世に送り出したマンハッタンカフェ。その後もゼンノロブロイ、キングカメハメハ、ディープインパクトなど毎年のように活躍馬を世に送り出す。セレクトセール出身の重賞勝ち馬は約200頭にも及び、内外のGI勝利数は、もうすぐ100に届こうかというほどだ。
高額で落札された馬ばかりが話題になるが、たとえばジャパンカップや宝塚記念などを勝つなど、12億円近くの賞金を獲得したアドマイヤムーンの落札額は1600万円。ドバイデューティフリーをレコードで勝つなど10億円近くを稼いだジャスタウェイも1200万円だ。サラブレッドの持つ未知の可能性を感じることができるのもセリの魅力だ。
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。
※週刊ポスト2019年8月2日号