京都大学iPS細胞研究所を訪れた芦田愛菜

 実際、今の世の中は三十年前、四十年前のSF作家たちですら想像していなかった世の中が広がっているんです。よく「SF小説に書かれていることが、現実化する」と言われますが、そうじゃなくて、「SFにも書かれていないこと」が現代には起こっているんです。

愛菜:たしかに、何十年後に、科学がどこまで進んでいて、どんな発明ができているかなんて、想像できないですもんね。

山中先生:そう、想像できないんです。でも、反対に、数十年前から想像はしていたのに、実現してないことも結構多いんです。僕が中学生くらいのときは、「あと二十年もしたら、ガンなんてすぐに治る病気になっていて、この世からなくなっている」と言われて、「きっとガンがなくなる」と誰もが思っていたんです。でも、これは残念ながら実現してなくて、いまだに3人に1人がガンで亡くなっている。だから、十年後、二十年後は、誰にも正直想像できないんです。たとえば、愛菜ちゃんは、いま学校で習っていることを、いま一生懸命覚えていますよね?

愛菜:はい、そうですね。

山中先生:そうやって愛菜ちゃんが学校で習った知識のいくつかは、あと10年くらいしたら、いらなくなっているかもしれません。

愛菜:え! そんな残念な……。でも、世の中が変わるにしたがって、知識や常識も変わっていくんでしょうね。

山中先生:あと、十年後くらいに今の中学生達が何かの仕事についたとき、今世の中に存在しない職業に就いている可能性があります。たとえば、ウェブデザイナーやユーチューバーといった職業は、僕が大学生の時には想像さえできなかったものです。

 どうしてこういう世の中になっているか。その理由のひとつは「科学」です。科学というのは、ほぼゼロの状態から、すごいものを作り出す力がある。自分がそういう仕事に携わっているというのは、やはりすごくワクワクします。でも、一歩間違えると、人類が破滅してしまうかもしれないので、怖いなとも思います。その両方を感じながら、毎日仕事をしています。

◆AIが進むことは楽しみでもあり心配でもありますよ

愛菜:科学が進んでいくとどうなるのか……というお話で、山中先生に伺いたいことがあります。それは、AIについてです。AIはいまどんどん進化していて、囲碁や将棋でも人間と対戦すると、人間が負けてしまうくらいに賢くなっています。いずれ人間よりもAIのほうが頭がよくなったら、人間にはもはやコントロールできなくなってしまうんじゃないか。そう考えると、とても怖くなります。山中先生は、AIが進化していくことに対して、どう思われますか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン