国際情報

話題の「北京ビキニ」 発祥の地は北京ではなかった

「上半身裸」も北京ビキニのスタイルの一つ(Imaginechina/アフロ)

 衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。中国は北京の夏を彩る男性の定番ファッション「北京ビキニ」が、当局の規制対象になったというのだ。インパクトのあるネーミングだが、中国の歴史に詳しい作家の島崎晋氏によると、発祥の地は「北京」ではないという。島崎氏が解説する。

 * * *
〈中国各地で「北京ビキニ」に規制、罰金科す都市も〉──これは今年の7月30日にAFP通信が配信した記事の見出しだが、夏の中国を訪れたことのない人には何が何だかわからないに違いない。ともに掲載されている写真が上半身裸で街中を歩く壮年男性と道端で将棋を楽しむ老人の姿だからなおさらである。これのどこがビキニなのかと。

 しかし。その謎は記事の冒頭を読めばすぐに解消される。「北京ビキニ」が〈夏に公共の場で男性が上着を着ないか、まくり上げて上半身を露出する〉ことを指す、と明記されているからだ。たしかに、上着をたくしあげた腹出し姿であればビキニと命名されたのも納得がいく。

 それでは「北京」のほうはどうかといえば、実のところ「北京ビキニ」発祥の地は北京ではなく、古くから中国の広い範囲で見られた。上着をたくしあげるスタイルは洋服が普及してからだが、それ以前からも、肉体労働者であれば上半身裸は当たり前だった。

 北京生まれでないのに「北京ビキニ」と命名された理由としては、北京が中国の首都であることに尽きるであろう。ビジネスマンや観光客だけでなく外交関係の外国人も多いところだから、外国人の目に見苦しく映る光景を撲滅したい。そのためどこよりも早く公序良俗に則した服装をするようキャンペーンがはられた関係上、「北京ビキニ」の名がつけられたのではなかろうか。

 北京市当局は違反者に対して「指導や氏名の公表」に留めているが、天津市や山東省済南市、遼寧省瀋陽市などでは50元(約790円)から200元(約3150円)の罰金が科せられるだけでなく、裸足にサンダルさえもが規制の対象となったという。当局がここまで踏み込んだ措置に出た背景としては、ネット世論の動向が関係する。中国のSNSのアンケートでは7割弱の人が何らかの規制に賛成しているから、当局も強い反発は起きないものと見越して、罰金刑の導入に踏み切れたのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン